こんにちは!SOLOのるうくです!
今回の記事では、聖光学院中学校帰国生入試の傾向と対策について詳しくご紹介します。
帰国生入試の難易度は国内最難関クラスです。実際、開成・麻布・武蔵など所謂御三家を一般受験で目指す帰国生も受験するそうです。
帰国生や国内インター生の英語力を活かすカリキュラムが充実している学校ですので興味がある人も多いのではないでしょうか。
一緒に詳しく見ていきましょう。
目次:
聖光学院中学帰国生入試の概要
まずは、聖光学院中学帰国生入試の概要を確認します。該当の情報は、下記の聖光学院中学帰国生入試のホームページを参照にしています。
https://sites.google.com/seiko.ac.jp/briefing
受験の対象者
聖光学院中学の帰国生入試は、以下の条件を満たす受験生が対象です。
- 海外在留期間が1年以上あること(日本帰国後、5年以内)
- 出願時に国内のインターナショナルスクールに在籍
近年では、国内のインターナショナルスクールに在籍をしている生徒も、帰国制入試の対象内であることが増えています。
聖光学院も2023年度より国内インター線を受け入れ始めた一校です。この制度の変更により、受験者数が微増しています。
入試日程と科目
帰国生入試の日程ですが、出願が12月上旬〜1月上旬、実際の試験は1月10日前後に行われます。
入試科目は以下です:
- 英語または国語:100点
- 算数:100点
帰国生の中でも、現地校に通われていた子などが英語を選択し、日本人学校に通われていた方は国語を選択する傾向にあるようです。
大きな特徴としては、面接がない点です。完全なる筆記試験勝負というのは非常に珍しいです。
過去の合格者の最低点は、平均して120点前後が目安となっています。6割ぐらいは正解する必要があるということです。
傾向と対策について
傾向と対策について見ていきたいと思います。まずは、国語と算数をザッと確認したいと思います。
国語
国語の合格者平均点は67点。合格者と不合格者の差は、語句や文法の知識を問う問題です。
国語は、以下の5つの大問から成りたっています。
- 大問1:漢字の書きとり
- 大問2:語句表現の空所補充
- 大問3:文法と熟語の構成
- 大問4:小説
- 大問5:随筆
大問1-3が、先述の知識を問う問題に相当します。配点が大きいため落としたくないところ。過去問で演習をする中で、理解に曖昧さが残るものは書き出して自分のノートを作ることがポイントです。
大問4-5の読解問題は、一般入試と同じ内容のものが出題されているため、一般入試の過去問演習がポイントになります。大量の文章を読まされるため早く正確に読む練習が必要。
算数
算数は合格者平均点が79点と、非常に高いのが特徴でう。大部分が易しい問題で構成されており、正解すべき問題は確実に得点することが重要です。
以下の5つの大問から成りたっています。
- 大問1:計算と小問
- 大問2:規則性
- 大問3:速さ
- 大問4:図形の移動
- 大問5:立体図形
算数の問題構成は、年度により変更があります。主として「数の性質」「場合の数」「比」「速さ」「平面図形」「立体図形」から出題されます。
「計算」「図形問題」「速さ」に関する問題は比較的解きやすく、合格最低点を確保するためにも正解したいところ。
図形問題が多いのが特徴的です。本校の解説にも、「線分図やグラフを用いて状況を整理しながら解く必要のある問題などで思考過程の記述を要求し、「粘り強さ」「丁寧さ」をはじめとする、本校の生徒にふさわしい能力を測る」と記載があります。
一般入試とさほどレベルと問題の傾向が変わらないため、一般入試の対策がそのまま有効です。
英語
ここからは、私の専門としている英語について詳しく分析をしていきます。最新の問題を例に、出題の傾向と対策を大問ごとに見ていきたいと思います。
試験時間は 60 分、配点は100 点です。合格者平均点は65点と、国語と算数よりも低い結果になっています。
語彙・文法の問題は大学受験程度のもので、長文読解に関しては英検一級を超える難度の説文が混在しています。読解量と設問数共に多く、時間内に自信を持って解答しきるのは容易ではありません。
合格者の英語の平均点も6割に届いておらず、中学受験の中では最高難度といえるでしょう。合格をするためには、英検一級程度のリーディング力は必要です。
使用される語彙はさほど難しくありませんが、問題に正解するためには文章同士のつながりを意識しながら呼んでいく「抽象理解力」が重要になるテストです。
詳しく見ていきましょう。以下の分析では、イメージがつきやすいように実際の聖光の入試問題から一部抜粋しています。
大問1. 読解問題
大問1は短めの文章中の空欄に適する語句を選ぶ問題です。全体の中では難易度は低めですので、おおかた正解したいところです。
テストの分量が多いため、このパッセージを2回読む時間はないかと思います。ゆっくりでもいいので、1回だけ読んで理解できる力が求められます。
文章時代の難易度はさほど高くない大問ですが、トピックがルネサンスに関することで、「ルター」「マキャベル」といった名前もでてくる等、背景知識のない小学生には読みづらい内容です。
多肢選択問題となっており、該当箇所の前後の文脈をきちんと理解していないと誤答してしまいます。そういった点では、単なる英語力を超えて、「抽象理解力」が重要になります。
内容を抜粋して確認してみましょう:
People began to inquire into everything, and some began to question their beliefs and ways of thinking. In Germany, Martin Luther started a revolt against the ( ) of the Roman Catholic Church. Soon, other Christians agreed that the Church needed to change, and several new Christian religions were established.
Choose the most appropriate word(s) to fill in the blank.
A. conventions B. interventions C. investigations D. revolutions
最後にまとめて解説をしますので、まずは自分の力で回答してみてください。
大問2. 文法問題
大問2. は、選択式のオーソドックスな文法問題です。日本の高校で習う英文法の範囲からの出題で、マーチレベルの問題です。
日本で体系的に英語を学んだ方にとっては回答しやすいですが、英文法を学習していない帰国子女やインターの子たちは意外と点数に開きがでます。
ネイティブレベルの感覚を持つ子たちは違和感で回答ができますが、そのレベルに到達していない場合間違える可能性が高いです。
感覚的に回答して間違ってしまう場合などは、苦手意識がある文法単元を集中的に攻略することが重要です。
Hong Kong’s ban on seafood imports from 10 Japanese regions began on Thursday, with authorities( )it was a precaution to safeguard public health.
Choose the best answer for the blank.
A. said B. have said C. saying D. were saying
大問3. 文法問題
大問2に続いて、大問3も文庫問題です。大問2が知識を問うタイプの問いに対して、運用能力を問う問題で、近年は語法的誤りを指摘する問題が多いです。
こちらも同様に大きく得点差が開くパートです。明らかに語句の使い方の間違った箇所を含む文を見て、短時間で何が不自然か分かり、それをどう直すべきかを考えられる力が必要です。
このパートに特化をした対策をしても、短期的にスコアを上げることは難しいでしょう。
日本語を介して英語を学習してきていない場合日本語での文法学習よりも、ケンブリッジのFCEを活用した学習もオススメです。大問2と3のような語彙と文法の用法集中的に学習することが可能です。
Correct each sentence in terms of meaning, grammar, and/or collocation (a particular combination of words) by replacing one word with another. An example is given below.
There are different theories about the age at which your chances of mastering a foreign language seems to start to drop.
大問4. 読解問題(説明文)
大問の4は読解問題です。難易度が一気に跳ね上がり、英検一級程度のリーディング問題に正答できる程度の力は必要です。
日頃から質の良い多読多聴を心掛けていない場合は、いわゆる英語長文の読み方を学ぶ必要があります。
設問についても、文章全体の流れを意識するとともに、一文の情報を正確に読み取ることが重要になります。
帰国子女の方などは物語を中心に読解をしているケースが多いかと思います。入試対策という観点では、説明文にも慣れておく必要がありそうです。
The history of humankind is filled with skilled and practiced liars. Many are criminals who spin lies and weave deceptive tales to gain unjust rewards. Some are politicians who lie to gain power, or to cling to it. Sometimes people lie to boost their image, others lie to cover up bad behavior. Even the academic science community—( 1 )—has been shown to contain a number of deceivers. But the lies of impostors, swindlers, and boasting politicians are just a sample of the untruths that have characterized human behavior for thousands of years.
Choose the most appropriate phrase to fill in the blank (1)
A. a field associated with prestige and fame
B. a group consisting of scientists and researchers
C. a world largely devoted to the pursuit of truth
D. a society of creative thinkers and problem solvers
大問5. 読解問題(物語)
大問4と同様に長文読解です。こちらは物語なので、現地に通われていた人などは似たトピックの英文に触れている確率は高いかもしれません。
それでも細かな文脈を読み取らせる問題が多く、普段から正確に大量の英文に触れていない場合、難易度は高く感じるでしょう。こちらも英検1級程度の英文は読める力がないと厳しい内容です。
Evening meals were (1)sacrosanct at our little house in Burbank, California. Only genuine illness or events of compelling academic or spiritual importance excused us. Mother provided the food, Dad the entertainment. I was almost of age before I realized that not everyone’s evening meal involved vigorous, fun, intellectual debate.
What does the author imply by using the word (1)sacrosanct in the passage?
A. The evening meals were cooked to perfection.
B. The evening meals were a rushed affair.
C. The evening meals were an important family ritual.
D. The evening meals were simple and unremarkable.
大問6. 自由英作文
最後が自由英作文です。登場人物の対話を聞いた上で、自分の意見を展開するというものです。
こちらの自由作文のみ聖光学院がモデルアンサーを公表しています。およそ100字程度のものとなっています。試験時間を考慮すると、10分程度で回答したいところです。
事前に読解をさせられるというのは、相手の意見をきちんと理解した上で自分の意見を述べることが求められるということです。
自分の意見を自由気ままに書くのではなく、他者を意識した意見を述べることがポイントです。TOEFL iBTにも同様の問題があるため練習になるかと思います。
こちらは読解の部分の分量が多くなるため、例題の紹介は省きます。
解答と解説
それでは、各大問の例題の解答と解説にうつりましょう。
大問1の例題:
答え:
D. revolutions
解説:
マルティン・ルターが起こした宗教改革(プロテスタント運動)はカトリック教会に対する「革命(revolutions)」の一部として解釈できます。ルターの行動は教会の権威に対する大きな反発を引き起こし、宗教的な変革を生みました。
他の選択肢が不正解の理由:
A. conventions(慣習)は、制度的または習慣的なルールを指しますが、ここでは教会の権威に対する大きな反発を示す「革命」が適切です。
B. interventions(介入)は、外部からの介入を意味しますが、この文脈には合いません。
C. investigations(調査)は、調査や研究を指し、ルターの行動とは関係がありません。
大問2の例題:
答え:
C. saying
解説:
“with authorities saying” は “with + 名詞 + 現在分詞” の形で、状況や付加情報を示す表現です。「当局が~と述べながら」という意味になります。
大問3の例題 :
答え:
seems → seem
解説 :
主語は “your chances”(複数形)なので、動詞も複数に一致させる必要があります。”seems” は単数形の主語(例:he seems, it seems)に対応する動詞ですが、ここでは “seem” を使うべきです。
大問4の例題 :
答え:
C. a world largely devoted to the pursuit of truth(主に真実の探求に捧げられた世界)
解説:
文脈上、科学の世界は一般的に「真実の探求」に関連付けられます。この理想と矛盾する形で、実際には詐欺師や虚偽が存在することを示唆しています。他の選択肢は、ニュアンスが文脈と一致しません。
大問5の例題 :
正解:
C. The evening meals were an important family ritual.
解説:「sacrosanct」という単語は、「神聖で侵すことのできないもの」という意味です。この文脈では、夕食が家族にとって非常に重要で、病気や学術的・宗教的な特別な理由がなければ欠席できなかったことを示しています。
A(夕食は完璧に調理されていた): 食事の質に焦点を当てておらず、議論や交流が主題です。
B(夕食は急いで行われた): 夕食はしっかりと時間を取って行われたため、これは不適切です。
D(夕食は単純で目立たなかった): 活発な議論が行われていたことから、夕食が目立たないものだったとは言えません。
最後に
以上が、聖光学院中学帰国生入試の傾向と対策の紹介でした。
いかがでしたでしょうか?
英語力の高い生徒のニーズに応えるため、「取り出し英語」という特別プログラムを設けています。通常の英語授業とは別に、少人数制で行われるこのプログラムです。
帰国生やインター生の英語力をさらに伸ばすことを目的に、リスニング、スピーキング、エッセイライティングなど、実践的なスキルを強化するカリキュラムが組まれています。
授業はネイティブの英語教師が担当し、生徒一人ひとりの英語力や学習の進度に応じて内容を調整する内容となっています。
東大を筆頭とする国内難関大学だけでなく、米国アイビーリーグなどの海外難関大学にも多数進学しています。英語ができて学力上位の生徒は、一番時間効率良く学力を伸ばせるルートとも言えます!
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後に、弊社はオンラインで難関受験対策を提供しています。英語、エッセイ、インタビューなどの入試でお悩みなどありましたら、遠慮なくご連絡下さい!