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今回の記事では、渋谷教育学園幕張(以下渋幕)の傾向と対策について詳しくご紹介します。
渋幕の入試は英語だけで完結する珍しい方式で、帰国生入試の難易度は国内最難関クラスです。
帰国生だけでなく、インター生や英語が得意な方も帰国生入試の枠で受験が可能です。
一緒に詳しく見ていきましょう:
目次:
帰国生入試の概要
まずは、渋幕の帰国生入試の概要を確認します。該当の情報は、下記の渋幕のホームページを参照にしています。
https://www.shibumaku.jp/admissions/youkou-2-2/
受験の対象者
渋幕の帰国生入試は、指定の年度に小学校や中学校を卒業見込みのものであれば、誰でも受験が可能です。
帰国生入試という名前ですが、海外在留経験は必要ありません。国内のインターナショナルスクールに在籍をしている生徒も、英語が得意な公立学校に通う人も受験が可能です。
入試日程と科目
帰国生入試の日程ですが、出願が12月中旬〜1月上旬、実際の試験は1月20日前後に行われます。
入試科目は以下です:
- リスニングと筆記(英)
- 英語のエッセイ(英)
- 面接(日英)
面接だけは一部で日本語の質問もされますが、その他は全て英語での入試です。
配点は100点満点で、筆記・リスニング50~60%、エッセイ20~30%、面接20~30%です。
帰国生入試の合格者の平均点は、例年80点程度で、倍率は4.0-4.5倍となっています。
レベル
渋幕の帰国生入試のレベルについてです。実際に私が回答したところ、以下のようなレベルの印象を受けました:
- リスニング:英検一級程度
- 語彙文法:大学入試程度
- 長文問題:英検一級程度
- エッセイ:IELTSと酷似
- 面接:IELTSと酷似
試験の内容や題材が大きく異なるため、軽率な一般化は避けたいところですが、あえてレベル感を述べると、英検一級程度の力がないと高得点は取りづらい試験だという印象です。
語彙・文法の問題は、日本の大学受験程度の難易度です。長文読解に関しては、英語圏の小学4,5年生が読む内容のものです。
時事問題が中心の英検を中心とした学習では、受験対策としては物足りないかもしれません。また、配点の大きいエッセイやインタビューは対策をしていないと、差が大きくつくでしょう。
帰国生入試の傾向と対策
ここからは、渋幕の帰国生入試の傾向と対策について見ていきたいと思います。
渋幕の帰国生入試は、中学・高校ともに同様の構成ですので、まとめて確認をします。
以下の分析では、イメージがつきやすいように実際の渋幕の入試問題から一部を抜粋しています。
大問1. リスニング
リスニングは、全て多肢選択問題で全10問出題されます。音源自体は一度しか流れませんので、一度で聞き取り・記憶する能力が重要です。
渋幕のリスニングでは、音源が流れる前に2分間設問を見る準備時間があります。
この時間で設問を全て暗記することは難しいです。むしろ、設問の暗記ができた部分だけ音源内で聞き取ろうとするため、全体の流れをないがしろにし、大きくスコアを落としてしまいます。
準備時間でやることは、設問のキーワードに線をひき、自分なりに音源の全体の内容の流れを想像することです。
設問の上から順番に、音源内では回答が出現します。重要なのは、意味の流れを追うことです。
また、試験の本番ではメモを取ることが可能です。自分の記憶だけに頼るのは危険ですので、メモを取る練習は必須です。
メモ取りにおける最も大切なことは、音源への集中と、メモ取りの塩梅を知ることです。この塩梅は、人によって異なります。
塩梅は、練習の中で測定する必要があります。全体で何文字ほどメモが取れるのか、カウントしてみてください。
大問2. 文法問題
大問2は文法問題です。引っ掛けはなく、オーソドックスな問題ばかりです。
日本の高校で習う英文法の範囲からの出題で、 共通試験や中堅大学程度の難易度です。
ネイティブレベルの英語力を持つ子たちは感覚で回答ができますが、そのレベルに到達していない場合は間違える可能性があります。
感覚的に回答して間違う場合などは、苦手意識のある文法単元を集中的に攻略することが重要です。
下線の引かれた箇所の文法が正しい場合は選択肢Aを、そうでない場合はB〜Dの中から正しいものを選ぶ形式です。
By the time I retire in June, I will have been working at Ridley & Sons for 18 years.
A. will have been working
B. would have worked
C. have been working
D. have worked
解説:
未来完了進行形 “will have been + 現在分詞” は、「未来のある時点で、何かが継続している期間」 を表現するために使われます。以下の3つのポイントが重要です:
まず、「未来の特定の時点まで続く行動」を表しています。この場合、「私がリタイアする(June)」がその時点で、それまでの18年間の働き続けた過程を描写しています。
次に、この文は「働いた」という結果ではなく、「働き続けてきた」という継続性を強調しています。未来完了進行形を使うことで、その過程や持続するニュアンスが自然に伝わります。
さらに、”for 18 years” のような期間表現が文中に含まれているのもポイントです。この期間があることで、行動の継続がより具体的にイメージしやすくなります。
大問3. 語彙問題
大問3は語彙問題です。文章内に当てはまる語句を選ぶシンプルな形式です。
語彙の意味をきちんと理解していれば正解できるものばかりで、英検準一級程度のレベルです。
多読を通して語彙力を増やすのが理想ではありますが、試験まで時間がない人などは英検やケンブリッジのFCEを活用した学習もオススメです。
A __________ in the system caused problems for all of the school’s computers.
A. glitch
B. blackout
C. break
D. leak
解説:
「glitch」は「一時的な不具合」や「小さな技術的問題」を意味します。文脈から考えると、学校のコンピュータ全体に問題を引き起こす「システムの不具合」を表すのに最適な語です。
大問4. 読解問題(物語)
大問4は物語の長文読解です。物語なので、海外経験がある方などには読みやすいでしょう。
一方で、英検のような時事問題で英語力を磨いてきた国内生などは苦労するパートになります。
細かな文脈を読み取らせる問題が多く、普段から正確に大量の英文に触れていない場合、難易度は高く感じるはずです。
The air was filled with so much smoke you could barely see the sky. Every time it was cleared by a strong wind, it was quickly replenished from another pillaged town or ________. During the day, the sun looked like a weak lantern shining through a brown sheet. The fairy-tale world had faced many troubling times in recent years, but never anything like this.
Which answer best completes the second sentence of the first paragraph?
A. forest fire
B. abandoned castle
C. earthquake
D. factory
解説:
文脈から判断すると、空気が煙で覆われており、その煙が「strong wind」で一時的に消えたあと、再び「another pillaged town or ______ 」から供給されているとあります。この状況は、煙が発生する原因として適切な選択肢を求めています。したがって、A. forest fireが正解です。
大問5. 読解問題(説明文)
大問5も読解問題です。しかし、物語ではなく記事などの説明文になります。
日頃から質の良い多読多聴を心掛けていない場合は、いわゆる英語長文の読み方を学び直す必要があります。
設問についても、文章全体の流れを意識するとともに、一文の情報を正確に読み取ることが重要になります。
The saga caught the eye of the psychologist David Dunning at Cornell University, who enlisted his graduate student, Justin Kruger, to see what was going on. They reasoned that, while almost everyone holds favorable views of their abilities on various social and intellectual levels, some people mistakenly assess their abilities as being much higher than they actually are. This illusion of confidence is now called the “Dunning-Kruger effect” and describes the cognitive bias to inflate self-assessment.
“The Dunning-Kruger effect” describes the situation in which people
A. overestimate their abilities.
B. are realistic about their weak points.
C. wrongly think others are much more capable.
D. accurately assess their own abilities.
解説:
文中でヒントとなるのが、”some people mistakenly assess their abilities as being much higher than they actually are”「自分の能力を実際よりも高く評価する」 と明確に述べられています。この記述がDunning-Kruger効果の核心を説明しています。また、”cognitive bias to inflate self-assessment”「自己評価を膨らませる認知バイアス」 という記述があり、これも「能力を過大評価する」ことを指しています。
エッセイ
今まで解説をしました、リスニングと筆記試験が終わった後に10分休憩をはさみ、エッセイに解答します。
エッセイは30分間です。配点が20~30点と大きいため、きちんと対策をしましょう。
データは公表されていないので憶測ですが、リスニングや筆記の多肢選択問題と比べ、最も大きく点差が出るパートです。
自由英作文ではなくエッセイであるため、型に沿った展開が必要です。主張をきちんと展開することを考えると、250字程度が文字数の目標になるかと思います。
エッセイの訓練をしたことがない人は、IELTSのライティングなどを活用して練習をすると効果が感じられると思います。
エッセイでは、以下のような過去問が出題されています。
Imagine a society in which money is not used. Would life be better worse?
考え方:
「お金がない社会」を想像したとき、どんな社会が生まれるのでしょうか?お金を使わない生活には、ポジティブな面とネガティブな面がそれぞれあります。エッセイを書くときは、主張は明確にするのが良いですが、アイデアは必ず2つの側面から考えるのがポイントです。
ポジティブな側面:
お金がない社会では、経済格差がなくなり平等が進みます。全員が平等に扱われる社会では、人々は仕事や地位ではなく「人間性」や「コミュニティ」に重きを置くことができるでしょう。さらに、物々交換などの形で、人々のつながりや助け合いが深まります。
ネガティブな側面:
一方で、物々交換には効率性の欠如が伴い、取引が成立しにくくなることがあります。また、お金がないことで、社会の進歩や競争が停滞する恐れもあります。お金というインセンティブがないため、イノベーションが生まれにくくなるかもしれません。
以下は私の書いたサンプルアンサーです。
Imagine a world without money. While some may argue that this could lead to greater equality, I believe that such a society would face many challenges, making life worse rather than better.
First, without money, it would be difficult to exchange goods and services efficiently. Bartering, while an option, is time-consuming and may not always match people’s needs. This could lead to frustration and wasted time, which would reduce overall productivity.
Moreover, without financial incentives, innovation and progress might stagnate. Money often motivates people to work harder, create new technologies, and improve society. Without this driving force, there would be less motivation to make advancements in crucial areas such as healthcare, education, and technology.
In conclusion, while a society without money might seem appealing in terms of equality, it would likely result in inefficiency and a lack of progress. Money plays an important role in driving productivity and innovation, which are essential for a thriving society.
面接
エッセイを終えると、最後にグループ面接(受験者3名)があります。面接は英語がメインで、最後に少し日本語でいくつかの問いを聞かれます。
問いの範囲において自らの主張を的確に述べることができるか。一人よがりの意見ではなく、複数の視点を持っているかが重要になります。
面接は自己紹介から始まります。一人一分程度です。自己紹介の後に、以下のような質問がよくされます。
- Which city did you live in while staying in the country?
- What was attractive about the country you stayed in?
- What motivated you to study abroad?
- What challenges did you face while living in a foreign country, and how did you overcome them?
- How did living in a different country change your perspective on the world?
これらは聞かれる可能性が高いので、あらかじめ準備をしておくと良いでしょう。とはいえ、暗記をしておくと面接官にはバレてしまいます。どのように回答を展開していくか、メインのキーワードを覚えておいてください。
その後、出願の際に提出をしたプリエッセイを元に質問がされます。プリエッセイでの自己PRを面接官が掘り下げることにより、受験者を深く理解し、将来のポテンシャルを測ることが目的になっていることを意味します。
直近のプリエッセイは、以下のようなものが出題されています:
- What does the word “adventure” mean to you? Explain your answer using examples from personal
experiences, anecdotes, current events, or literature. - According to Michel de Montaigne, “This great world is a mirror where we must see ourselves in order to know ourselves.” Explain what you have learned about yourself by observing the world around you.
提出したプリエッセイの内容を元に試験官から各自に質問がされます。例えば、以下のような質問です:
- From which people or events have you learned?
- How do you feel you have grown through that experience?
- How do you plan to apply what you learned from that experience in the future?
- How has changing your perspective on the world influenced your thinking?
プリエッセイ自体は合否に直接影響しませんが、面接試験ではその内容をもとに質問されます。ですので、プリエッセイに自分の経験を具体的に記載しておくと、面接での回答がしやすくなり、自己PRを効果的に行えるようになります。
最後にいくつか日本語で追加の質問がされて、面接は終了となります。日本語の面接の目的は定かではありませんが、学校生活に支障がないかの確認だと推測します。
最後に
以上が、渋谷教育学園幕張帰国生入試の傾向と対策の紹介でした。
いかがでしたでしょうか?
この難易度のテストに小中学生が挑むこと自体がすごいですが、8割以上正解しないと合格できないと考えると、国内の帰国生入試最難関というのには納得ができます。
渋幕は、東大を筆頭とする国内難関大学だけでなく、海外の難関大学にも多数進学しています。
英語ができる学力上位の生徒は、一番時間効率良く学力を伸ばせるルートとも言えます。是非、臆せずにチャレンジをしてみてください!
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後に、弊社はオンラインで難関受験対策を提供しています。渋幕のプリエッセイ、英語、エッセイ、面接などの専門対策も可能です。お悩みなどありましたら、遠慮なくご連絡下さい!