こんにちは!
今回の記事では、英語のリスニング勉強法の一つ「ディクテーション」の効果的な実践方法を紹介してきます。
「ディクテーションって、そんなに効果があるの?」
Googleで「ディクテーション」と調べてみると、「効果絶大!」と書かれる記事もあれば「無意味だ!」と書かれている記事もあって、結局どっちか分かりません。
しかし、気になっていずれの記事もじっくりみてみると、「おそらくこのプロセスが効果の差だな」ということが分かったので、その点をまとめていこうと思います。
まず初めに「ディクテーションとは何か?」についての概要的な説明を述べてから、効果的な勉強法について書いていこうと思います。
既にディクテーションを知っている読者の方は、勉強法の部分だけ参考程度に眺めていただけると幸いです。
最後にサンプル問題も載せておきますので、是非チャレンジしてみてください!
それでは詳しく説明していきます。
目次:
ディクテーションとは?
ディクテーションとは、聴き取れた英語をそのまま書き起こす勉強方法です。
一般的に「穴埋め型」のディクテーションと「全文書き取り型」のディクテーションの二種類があり、初心者は前者の「穴埋め型」、上級者は「前文書き取り型」で勉強するのが効果的です。
効果・メリット
ディクテーションの効果は以下の三点です:
- 音声知覚力の向上
- 文法力の向上
- 解釈力の向上
「1. 音声知覚」とは、英語の音を聴き取る力のことです。書き取ろうと英語の音に集中するため、より詳細な音の変化に耳が慣れていきます。
「2. 文法力」と「3. 解釈力」は、書き取ったセンテンスが「文法的に(または意味的に)正しいのか?」を吟味する力です。
英語は消失・変化する音が多く、全ての語を完璧に聴き取ることはできません。そのため、文法力や前後の文脈から適切な語を推測する力が必要になるのです。
音を聴き取って書き出すためには、その語句を事前にインプットしている必要があり、語順など文法事項に関する理解力が必要になります。
つまり、単なる学習だけにとどまらず、語彙や文法などの復習の機会としてディクテーションを活用することも非常に効果的だと考えられます。
どんな時にオススメ?
私たちが受験する一般的な英語試験(TOEICや英検)では、ディクテーションの力は求められません。
しかし、以下の一部のテストでは問題として出題されるので勉強に取り入れることをオススメします:
「1. IELTS」は、海外進学や留学で必要になる英語試験です。TOEFLと同様のテストだと思ってください。IELTSでは、主に数字や固有名詞など、細かい音の聴き取りが出題されます。
「2. OET」は、海外で医師として働くために必要な試験です。カルテの空欄部分に、適切な症状や薬剤名などを書き取ります。
「3. Duolingo」は、オンラインテストです。一部の大学や企業でスコアが採用されています。上記二つに比べると、少し難解な全文書き取りの問題が出題されます。
ディクテーションの勉強法
効果的にディクテーションを行うためには、以下の6つのステップで勉強します:
- 音源を用意する
- 全体の意味を把握する
- 聴き取れた語彙や表現を書きとる(繰り返し)
- 書き出したものを読み返してみて意味が通じるかどうか確認する
- 意味が通らない場合、前後の文脈から推測する
- もうこれ以上答えが出ないという段階でトランスクリプトを確認する
それぞれ詳しく説明します。
Step 1. 音源を用意する
まずは、ディクテーションで使用する音源を用意します。
音源を選ぶときのポイントは三点:
- 自分の語彙力にあったもの
- 適切な再生時間のもの
- トランスクリプトが付いているもの
当然、自分の知らない単語は書き起こすことができません。そのため、あまりにも自分のレベルとかけ離れている教材はNGです。
また、ディクテーションは高い集中力が必要なため、音声が長くなると中だるみしてしまいます。1分以内を目安に音源を選ぶ、または音源の一部だけをディクテーションすると良いでしょう。
個人的にオススメなのは、一度解いたことのある模試の音源を利用することです。
TOEICでも英検でも、大学受験の問題でも構いません。一度解いて、内容を復習してあるテストであれば、その時に語彙を覚えているはずなのでレベル感は問題ないはずです。
内容の復習にもなるので、知識の定着を促しつつ、音声知覚力を伸ばすことができます。
Step 2. 全体の意味を把握する
音源が用意できたら「いざ!ディクテーション!」と言いたいところですが、いきなりディクテーションを始めないで、まずは音声全体の意味を理解することに努めましょう。
最初から細かい音を聴き取ろうとすると、点で音を捉えることに慣れてしまい、文章全体としての音を理解することが難しくなるからです。
Step 3. 聴き取れた語彙や表現を書きとる
全体の意味がなんとなくイメージできたら、早速書き取りを始めます。
ポイントは「前から順番に”丁寧に”書き取ろうとしないこと」です。完璧主義の人は要注意ですよ。
これも、最初の音から完璧に聴き取ろうとすると、音声全体の意味を理解することが疎かになってしまうためです。
大雑把でいいので、書き取れた情報をどんどん書き起こしていきましょう。
音声は何回聴き返してもOKです。
Step 4. 内容を確認する
ある程度ディクテーションができたら、書き取った英語を確認しましょう
Step2 で理解したイメージと対比しながら、文章の流れや展開が自然かどうかをチェックします。
「理解が不十分だな…」と感じる部分があれば、Step3に戻って再度音声を繰り返し聴いてみることも効果的です。
Step 5. 文脈から解釈を加える
Step4で「なんか前後の文章と意味が合わないな…」という部分があった場合、文脈に合わせた解釈を追加していきます。
例えば、
- 助動詞(will/would/can/could,など)
- 冠詞(a/the,など)
- 前置詞(at/in/of,など)
の三点は音が消失する傾向が強いので、文法的な観点からもセンテンスをチェックすると効果的です。
Step 6. トランスクリプトをチェックする
ここまでで数十回は音声を繰り返し聴いてくれたと思います。ここまで聴き込んで、ようやくトランスクリプトを見て答え合わせをします。
ディクテーションの効果を高めるためには、トランスクリプトに頼ることなく繰り返し何度も音声を聴いて文字に書き起こすことが大切です。
そのため、答えを早く見たい気持ちをグッと堪えて、極限まで自分の力でやり切ることを意識してください。
答え合わせができたら、間違った部分は「なぜ間違ったのか?」と振り返りを行い、同じミスを繰り返さないようにしていきましょう。
ディクテーションで効果を出すポイント
ディクテーションで効果を出すポイントは、
- 1センテンス以上の教材を用いる
- 文脈からセンテンスの意味を推測する
- すぐに回答を見ない
の三点です。
それぞれ説明していきます。
Point 1. 1センテンス以上の教材を用いる
リスニング力を伸ばすためには、単に「点」の情報を拾えることができるようになっても意味がありません。あくまで重要なことは、メッセージ全体を「線」として捉えることです。
前後の文脈なしに、唐突に音声を書き取るというのは、なんの補足情報もなく細かい音だけに焦点を当てなくてはなりません。
しかし、実際のコミュニケーションや英語試験では、そのような細かい音ではなくメッセージ全体の意味がより重要なことは言うまでもありません。
「前後の話の流れから意味を理解する」
Point 2に繋がるこの観点が、リスニング力を伸ばす上で重要なポイントになります。
Point 2.文脈からセンテンスの意味を推測する
Point 1で述べたように、前後の流れから意味を推測する力を伸ばすことが、リスニング力を伸ばす上で重要です。
日本語でも、私たちは会話の内容を予測しながら情報を処理しています。だから、ZOOMで途中音声が途切れてもある程度内容を理解できたり、ワイワイと賑わっている場所でも意味をなんとなく理解できます。
「つまり、こう言うことが言いたいんだろうな」
と、想像力をフル稼働させることによって、英語の音声聴き取りだけでなく意味を理解する力も向上させることができます。
仮に想像と間違ってしまった場合は、「何が問題だったか?」を分析し、一つ一つ課題を解決することで着実にリスニング力が伸びていきます。
Point 3.すぐに回答を見ない
最後に、すぐに回答を見ないこと。すぐに答え合わせがしたくなってしまう人は注意してください。
「なんと言っているんだろう?」
「文脈的にどの単語が入るだろう?」
と試行錯誤することは、私たちの脳を活性化し、より英語の音声に対して敏感に反応できるようにしてくれます。
また、試行錯誤の上に答えた部分が正解だった場合、脳に強い快楽刺激が与えられるので、英語学習の強いモチベーションになるはずです。
ディクテーションのサンプル問題
それでは、最後にディクテーションのサンプル問題を解いてみましょう:
Customer: | Good morning. , please. |
Man: | Certainly. Flying from Sydney? |
Customer: | Yes. On Thursday, please. |
Man: | Thursday the 16th? Right. … There are three flights that day. any particular airline? |
Customer: | I’ve heard that Air Canada is good, but expensive. Is there ? I’ll be flying business class. |
Man: | Yes, there is. Air Canada is the most expensive airline at $4,000 to $6,000 for business class . |
Qantas is $3,000 to $6,000 and Pacific, the budget airline, . | |
Customer: | Wow! That’s quite a difference in prices! , so could you check the return prices for me? |
Man: | Sure. Let me just enter the return date into the computer… |
回答の確認は、コチラのウェブサイトでできます。
まとめ
リスニング勉強のバリュエーションとして実践してみては
今回の記事の内容を以下にまとめます:
- ディクテーションは聴き取った音声を書き取る勉強法
- リスニング力だけなく文法力や解釈力が身に付く
- 音声全体の意味を理解してからディクテーションを行う
- 文脈からセンテンスの意味を推測することを意識する
- すぐにトランスクリプトを見ないで限界まで音声を聴き抜こう
ディクテーションは、同時通訳スクールの教材としても使われていることから、「意味がない!」ということはないと思います。
しかし、やり方を間違えて「単なる作業」のように学習してしまうと、その効果はガクッと下がってしまうので注意が必要です。
ディクテーションは、個人的にはオススメの勉強法の一つです。特別な教材は必要なく、今まで使っていた教材を黒塗りしたりすることで、自分のレベルに合わせることができます!
最後に、英語学習などで何かご相談等ありましたら、お気軽にご連絡ください!