こんにちは!SOLOのルークです!
2023年7月からTOEFL iBTの “Independent Writing” が廃止され、代わりに “Academic Discussion” が導入されました。
これまでのエッセイ形式の回答から、生徒同士のディスカッションに対して自分の意見を述べる形式になり、それに伴い回答に必要な表現なども変わっています。
今回の記事では、新形式 “Academic Discussion” で高スコアを取るポイントやテンプレートを紹介していきます。
注意点として、最終的にはテンプレートだけでは不十分です。主張と具体例の結び付けなど、母語に関するスキルも重要な要素になることを忘れないようにしましょう!
目次:
TOEFL iBT “Academic Discussion” の概要
Academic Discussion は、その名の通りクラス内でのディスカッションを想定し、トピックに対して他の生徒の意見を参考にしながら自分の意見を述べる形式の問題です。
概要をまとめると、
試験時間 | 10分 |
文字数 | 100字程度 |
内容 | 設問に対する自分の意見を書く |
このようになります。
最も顕著な変更点は試験時間と指定文字数の短縮です。
これまではトピックに対して複数のボディを展開する必要があり、その分だけ主張展開などをより深く練る必要がありました。
しかしAcademic Discussionではより瞬時に反応することが求められ、それだけ主張展開などを深く練る必要性はありません。
Academic Discussionの形式
Academic Discussionは、
- 導入文(Introduction)
- 講師による問題提起(Question)
- 2名の生徒の意見(Discussion)
の3つのパートで構成されています。
イメージは以下のような感じ:
上記の “Dr. Diaz” に当たる部分が問題提起。
これが回答の軸になるポイントなので、何を問われているのかをしっかりと理解することが大切です。
“Kelly” と “Paul” が生徒同士のディスカッションに当たります。
彼らの意見を参考にしながら、自分なりの意見を述べていきます。
Academic Discussionの評価観点
Academic Discussionの評価観点は、以前の形式と大きく変わっていません。
以下がルーブリック(評価表)です:
参考:TOEFL iBT® Writing for an Academic Discussion Rubrics
上記の評価軸を私なりにざっくりと解釈すると、
- 設問に対して適切な返答ができているか
- 返答は適切な具体例でサポートできているか
- 様々な文法表現を用いることができているか
- スペルミス・文法ミスはないか
の4点がスコアメイクにおいて重要になるでしょう。
一番大切なのは、何と言っても自分の意見を適切な具体例でしっかりとサポートすること。これに限ります。
つまり、英語力も大切ですが、コアになるのは母語で展開を考える思考力ですね!
「3. 様々な文法表現」は他の生徒の意見を引き合いに出して、対比や比較が出来ると書きやすそうです。
「4. スペル・文法ミス」は、普段スペルチェッカーに頼っている人は苦戦するかもしれません。(私もです)
Academic Discussionで高スコアを狙うためのポイント
概要が分かったところで、高スコアを狙うために必要なポイントを押さえていきましょう。
重要なのは、
- 思考の瞬発力UP
- コンプレックス・センテンスを適切に使う
- タイピングの速度UP
あたりだと思います。
上記はあくまで私の指導経験をベースに言語化したポイントです。現状によってもちろん状況は変わるので、不安な場合はご連絡ください!
それぞれ簡単に解説していきます。
1. 思考の瞬発力UP
Academic Discussionは10分間の中で指示文を読解し、自分の意見を展開する必要があります。
時間内に回答するためには、日頃から疑問・問題に対して自分なりの意見を持つ経験を積んでおくことが役に立ちます。
意見は、
- 個人的な経験
- 史実(歴史的にある事実)
- データ(数値)
- 引用(著名人の言葉)
などの具体例があって初めて説得力を持ちます。
「1. 個人的な経験」は説得材料としては弱いので、慣れてきたら客観的な事実を用いた方が高いスコアが取得しやすくなります。
単に「私はこう思う!」と言うだけでは意見ではなく “個人の感想” になってしまうので注意してください。
思考の瞬発力を高める方法に関して、以下の記事の後半で詳しく説明しているので、参考にしていただけると幸いです:
2. コンプレックス・センテンスを適切に使う
コンプレックス・センテンスとは、2つの節(完全文)から成る文章です。
2つの節を作るためには接続表現を用いる必要性があり、それぞれの文章の役割を理解する必要があります。
「結論」を示す “so” を用いたにも関わらず、「並列」として文章を続けていたり。
「逆説・対比」の “However” を対比させる情報がないのに使ったりなど。
文法的に見ると間違っていないセンテンスが、論理の流れからみると間違っているというケースをよく見かけます。
これらは “Discorse Markers/Transition Words” と言われる論理展開を示す接続表現です。
これらを適切に使えるように、常に論理の流れを意識して大局的に文章を理解していくことを意識してみてください。
参考までにディスコースマーカーについてまとめた記事を載せておきます:
3. タイピングの速度UP
コンピューターベースのTOEFLは、タイピング速度が重要なファクターです。
これはAcademic Discussionに限った話ではないので、普段からブラインドタッチを意識してトレーニングしておくことが重要です。
普段スマホやタブレットだけで学習していると、この要素に大きく足を引っ張られることがあります。
どうにかして普段からタイピングをする習慣を見つけてみてください。
Academic Discussionで高スコアを狙うテンプレート
概要の評価観点で説明したように、Academic Discussinoのスコアは、
- 設問に対して適切な返答ができているか
- 返答は適切な具体例でサポートできているか
- 様々な文法表現を用いることができているか
- スペルミス・文法ミスはないか
の4点に大きく左右されます。
ここで覚えておきたいのは、生徒同士のディスカッションに関しては言及する必要性が無い点です。
つまり、自分の意見や展開力に自信がある場合は、ディスカッションの部分を無視して自分なりに意見と具体例を述べていくことでも高スコアを取ることが可能です。
ディスカッションに言及するメリットは、
- 対比・比較表現が用いやすい
- 自分でアイデアを絞り出す必要がない
の2点。
今回のテンプレートは、自分の意見のみを展開するケースと、ディスカッションに言及するケースの2通りを紹介していきます。
テンプレート1. 自分の意見を展開する場合
自分の意見だけで展開する場合、
- しっかりと具体例で意見をサポートすること
- 意識的に様々な文法表現を用いること
が大切です。
それを踏まえて「大学では勉強よりも実経験が重要かどうか?」に関して、テンプレートを使って回答してみます:
In my opinion, universities should prioritize practical skills over theoretical knowledge because this better prepares students for the job market. For instance, a recent study shows that employers value hands-on experience. While it’s true that theory is important, it’s also important to consider that without practical application, knowledge remains abstract. In conclusion, focusing on practical skills is essential for student success. Undoubtedly, this approach provides a comprehensive education, and as a result, students are better equipped to excel in their careers.
まず、自分の意見を述べた後に “because” で理由に繋げます。
その後 “for instance/example” で意見をサポートする具体例を展開。
自分の意見だけでは説得力に欠けるので、対立意見を譲歩(“While it’s true that ~~~, it’s important to consider that”)で受け止め、再度自分の意見を強化します。
最後に結論として “In conclusion” を用いて、その意見が採用された後に起こり得るメリットを “as a result, ~~~” で展開していきます。
これは100%正しいという訳ではありませんが、対立意見に対して理解を示しつつ自分の意見を強めていく姿勢がAcademic Writingでは重要です!
テンプレート2. ディスカッションに言及する場合
ディスカッションに言及する場合、自然と対比や比較が多くなります。
自分の意見を深く展開する必要がないので、設問に対してあまり良い回答が思い浮かばない時に役に立つと思います。
先ほどと同様のトピックでテンプレートを使って回答してみます:
I understand what (Sarah) is saying about the importance of theoretical knowledge in university education because it builds a strong foundation. However, I agree more with (John) that practical skills are crucial. For example, (John) mentioned that hands-on experience directly prepares students for real-world challenges. While (Sarah) argues that theory is necessary, I believe combining both approaches is ideal. In conclusion, (John’s) point about the importance of practical skills in enhancing employability is particularly compelling and should be considered in curriculum development.
2人の意見を引き合いに出す場合、対立意見に対する理解を “I understand what (Student A) is saying about ~~~” と述べて示します。
その情報を “However” で打ち消し、自分の意見に近い生徒への賛同を “ I agree more with (Student B) that ~~~” を述べていきます。
具体例は賛同している “Student B” のディスカッション内容を “ (Student B) menthined that ~~~” と引き合いに出し、意見をサポート。
最後に “In conlusion” で結論を述べていきます。
自分の意見に自信が持てない時に有効な手段ですが、具体例でのサポートが少し弱いのが難点。フルスコアを取ることは難しいと思います!
まとめ
Academic Discussionは必要文字数が少なくなった代わりに、より瞬時に主張展開する思考力が求められます。
繰り返しになりますが、主張を具体例でサポートするためには日頃から母語で言語化する能力が欠かせません。
そのためには、
- 問題・疑問を見つける
- 1に対して自分の考えを述べる
- 2を否定する人でも思わず納得してしまうような具体例や事例を考える(探す)
というようなトレーニングを行ってみてください。
もちろん言語的な基礎スキルがあってこその思考トレーニングです。文法ミスが多い人は、基礎力の強化により焦点を当てましょう!
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。