こんにちは、SOLOのルークです!
医療従事者の方に、OETやIELTSを教えています。
今回の記事では「OETでスコア400以上(Grade B後半)を狙う戦略」を紹介します。
目次:
OETでスコア400以上をとる戦略
OETの採点は、 各セクションごとに0〜500点のスコア で評価され、それに応じてA〜Eのグレードが付与されます。
その中でも、多くの方の指標になるのが、Grade B(350〜440点)かと思います。350点であっても、440点であっても、評価の指標はGrade Bになるため、350点を目指して対策をされている方が多いテストです。
しかし、特定の研修プログラムや、イギリスでの初期研修などでは、400点以上という明確なスコア要件が設定されている場合があります。
そしてこの350点と400点の間には、大きな壁があります。私の経験上、OETを受験され必要要件をパスされた方の9割以上は、スコアが350〜390点の範囲に集中している印象です。
それだけ、400点というスコアは難易度が高く、確かな対策と準備が必要になるかと思います。
リーディング
OETリーディングで400点以上のスコアを目指す場合、目安として35問前後の正解が必要になります。
「前後」と表現したのは、OETではスコアが問題の難易度によって調整される(スケーリング方式)ためです。そのため、同じ35問正解でも、回によってスコアに若干のブレが生じます。
スコアを安定して400点台に乗せたい場合、以下のような正答配分を目指すとよいでしょう:
- Part A:18/20
- Part B:5/6
- Part C:12/16
特にPart Aは比較的取り組みやすいため、基本的には満点を狙える力があることが理想です。本番では緊張などもあり満点は難しいかもしれませんが、練習段階で常に満点近くを出せる状態を作っておきましょう。
Part BやCは選択肢が曖昧で難易度が高いですが、それでも8割近い正答率を目指す必要があります。
リーディングで400点を超えるためには、表面的な語句の一致に頼らず、「筆者が本当に伝えたいことは何か?」という読解力の本質を鍛える必要があります。
また、選択肢がすべてもっともらしく見える中で、正解を選ぶには消去法による比較検討の力が不可欠です。選択肢を丁寧に比較し、「どれがより的確か」を見極める練習を重ねましょう。
リスニング
OETの中でも、日本人受験者にとって最も難しいと言われるのがリスニングです。
350点を目指す場合は、30問前後の正解で到達できるケースもありますが、400点以上を狙うとなると、リーディングと同様に35問前後の正解が必要になります。
そのためには、各パートで以下のようなスコア配分を目指すのが効果的です:
- Part A:20/24
- Part B:5/6
- Part C:10/12
350点を目指す場合は、比較的取り組みやすいPart Aでしっかり得点を稼ぎ、Part BやCはあまり期待しすぎないという戦略が有効です。
しかし、400点以上を目指すとなると、Part BとCでも高得点を取る必要があります。Part Aは確かに難易度が低めではありますが、満点を取るのは現実的には難しく、BやCの得点がそのままスコアに直結するからです。
このレベルのスコアを取るためには、単に音源を真似したりディクテーションを繰り返すだけでは不十分です。
必要なのは、大局(全体の流れ)とディテール(細かい情報)を切り分けて理解する力です。
つまり、音声を聴きながら、
「これは今、核心部分だな」
「これは例として言っているだけだな」
といった情報の重要度を瞬時に判断し、優先順位をつけて聞き取る力が求められます。
また、OETのみの学習では学びが限定的になり、スコアが伸び悩みます。OETに、関連したトピックを扱った、ドラマ、ユーチューブ、ポッドキャスト等を学習に組み込みましょう。
ライティング
OETライティングのGrade B最低ライン350には27/38点の評価が必要でした。この場合は、Purposeで2/3、他の項目で各5/7程度のスコア(合計27/38点)といった内訳を目指します。
これが400になると、31/38点前後の評価が必要です。これは、いずれかの項目で満点近く(7/7や3/3)を取りつつ、他の項目でも5~6点を維持するバランスが求められるということです。
極端に弱い項目が一つでもあると400には届かない可能性が高いため、苦手分野を残さない満遍なく高水準の仕上がりを目指しましょう
OETのライティングで350点を超えるためには、手紙として意味が通り、目的が明確であることが求められますが、400点以上はその上で「無駄がなく、読みやすく、読み手に寄り添っているか」という点が重視されます。
ポイントは以下の通りです。
1. 目的を一文で明示し、終始一貫させる
読み手が手紙を開いた瞬間に「この手紙の目的」が伝わっている必要があります。冒頭で丁寧かつ明確に依頼内容や目的を述べ、文全体がその目的に沿って構成されているかが問われます。
2. 関連性のある情報のみを選ぶ力
スコア400に届かない原因としてよくあるのが、「関係ない情報まで盛り込んでしまっている」という点です。逆に、情報を削りすぎて目的に必要な情報が抜け落ちてしまうケースもあります。書く前に「この情報は読み手にとって必要か?」を問いながら取捨選択をしましょう。
3. 論理的な段落構成と適切なトーン
Grade B後半になると、手紙の読みやすさも重要です。段落は適切に分けられ、各段落が明確な主題を持っており、内容が時系列または重要度順で配置されている必要があります。また、宛先に応じて文体が丁寧かつ一貫しており、「自分ならこの手紙を読んですぐに行動できるか?」という視点が大切です。
4. 表現の正確さ
文法やスペルのミスは、わずかでも意味の明確さに影響するため、400点を超えるには避ける必要があります。さらに、語彙や構文が単調であると、たとえ正確でも高得点にはなりません。適切に言い換えを行い、自然で多様な表現を身につけるよう心がけましょう。
ライティングでは、模範文と自分の書いた文を比較して、「自分はなぜこの表現を選んだのか?」「読み手に伝わりやすいか?」という視点で見直す習慣が、Grade B後半への鍵となります。
スピーキング
OETのスピーキングは何点とると合格といったラインが明示されていません。一方で、39点満点とライティングとほとんど同じスコアですので、32点前後が400点のラインとみて良いでしょう。
この場合、Linguistic Criteriaで20/24、Clinical Communication Criteriaで12/15あたりが合格ラインになる可能性が高いです。
OETのスピーキングで400点以上を取るには、単に意思疎通ができる英語力(=350点相当)を超え、より高次の「相手に配慮し、的確に、かつプロフェッショナルに伝える力」が求められます。
350点を超えるためには、ある程度の流暢さと伝達力があれば十分ですが、400点以上となると、各評価項目において隙のない完成度を示す必要があります。
具体的には、以下の4つの技術が重要です。
1. 明瞭な発音と自然な抑揚
スコア400を目指す場合、単に通じる発音では足りません。強調すべき語を明瞭に伝え、自然な抑揚をつけることで、話の要点がより明確になります。これが、評価項目のIntelligibility(明瞭さ)に大きく影響します。
2. スムーズな会話運びとスピード感
Fluency(流暢さ)においては、「途切れない」「言い淀まない」「考え込まない」ことが大切です。言い直しや躊躇の数を数回以内に抑え、全体としてテンポよく進行する必要があります。
3. 患者に合わせた丁寧な言語選択
Appropriateness of Languageの観点では、医学用語をかみ砕いて説明したり、相手に合わせた語調を選んだりといった配慮が評価されます。特にスコア400を超えるためには、専門知識があってもそれを患者に伝える“分かりやすさ”が必要です。
4. 会話の構造と共感力
スピーキングで高得点を取る方は、タスクに沿って会話の段取りを整理して進めています。段落構成ならぬ会話構成が明確で、「では次に…」「それを踏まえて…」と話題転換が自然です。さらに、患者の言葉を汲み取って共感を示す場面が随所にあると、Relationship Buildingの評価も高くなります。
スピーキングでは、録音して聞き返す習慣と、共感フレーズ・言い換え練習などの蓄積が、400点への大きな一歩になります。
最後に
以上、OETでスコア400以上(Grade B後半)を狙う戦略の解説でした。
いかがでしたでしょうか?
OETで350点を取得して臨床留学に臨まれる方も多くいらっしゃいますが、現地での臨床コミュニケーションにはじめは大きな壁を感じることもあります。というのも、350点は「業務に必要最低限の英語力がある」ことを示す水準であり、裏を返せば「ぎりぎり及第点」とも言えるからです。
一方で、400点前後のスコアを持っていると、到着初日から患者との会話に安心して臨むことができ、現場での信頼を得るスピードも格段に早くなります。
今後OETを受験される方は、単なる合格ライン(350)で満足せず、ぜひ“現地で困らない”という視点から400点を一つの目標として学習を進めてみてください。
本記事がその指針の一助となれば幸いです。
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。臨床留学やOETに関して何かございましたら遠慮なくご連絡ください。