こんにちは、SOLOのルークです!
大学院へ進学される方に、TOEFLやIELTSを教えています。
今回の記事では「東大と京大の院試に必要なTOEFLスコアを取得する勉強法」を紹介します。
合格のために必要なスコアは、公式には公表されていません。一方で、合格者体験や、担当教授の話を参照にすると「TOEFL iBT80点」または「ITP550点」が合格者平均点だと言われています。
※ 京大は元々iBT一択です。東大も、新型コロナの影響により現在はTOEFL ITPを実施していません。従って、2022年10月現時点では、双方の大学とも必然的にiBTでの受験が必要です。
それでは、詳しくみていきましょう。
目次:
東大・京大の院試で必要なTOEFL
TOEFL iBTとITPの違いは
まずは、「TOEFL iBT」と「TOEFL ITP」の違いを確認していきましょう。
以下が、2つのテストの概要です:
TOEFL iBT | TOEFL ITP | |
名称 | TOEFL Internet Based Testing | TOEFL Institutional Test Program |
試験形態 | パソコンベース | ペーパーテスト |
受験単位 | 個人受験 | 団体受験 |
受験料 | $245 | N/A |
スコア | 20 ~ 120点 | 310 ~ 677点 |
募集基準(平均) | 80 / 120点 | 550 / 677点 |
試験時間 | 約3時間〜3時間30分 | 約1時間55分 |
問題構成 | ・Listening ・Reading ・Speaking ・Writing | ・Listening ・Reading ・Grammar |
メリット | ・複数回受験が可能 ・英語の運用力が総合的に伸びる ・東大と京大の両方で提出可能 | ・ライティングとスピーキング試験なし |
デメリット | ・難易度が高い | ・京大は提出不可 ・当日の一回のみ受験可能 |
双方のテストの大きな相違点は、スピーキングとライティングセクションの有無です。ITPは、スピーキングとライティングの試験がありません。
難易度に関してですが、iBTの方が圧倒的に難しいです。そう考えると、一見ITPの方が良さそうですが、 iBTは、書類提出までに何回でも受験できます。
ITPは、試験会場でテストを受験して合格スコアを出す必要があり、一発勝負です。また、東大の一部学部を除いては使用できないのがデメリットです。
以下に、ETSが公表しているサンプル問題のリンクを載せておきます。参考までに問題形式を確認してみてはいかがでしょうか。
TOEFL iBTは、海外の大学院進学でも認められているテストです。世界基準を目指すのならばTOEFL iBTを受験すると良いでしょう!
レベル感
次に、テストのレベル感を確認しましょう。
イメージが湧くように他の英語試験との換算表を作成しました:
TOEFL iBT | TOEFL ITP | TOEIC | 英検 | IELTS |
N/A | N/A | N/A | N/A | 9.0-8.5 |
120 – 95 | 677 – 587 | 990+ | 1級+ | 8.0-7.0 |
94 – 72 | 583 – 533 | 980 – 840 | 1級 – 準1級 | 6.5-5.5 |
71 – 42 | 530 – 440 | 830 – 410 | 準1級 – 2級 | 5.0-4.0 |
かなり強引にスコアを当てはめていますが、英検一級程度、TOEIC900点」+程度がスコアの目安です。
毎日英語を学習したとして、効率的に学習できれば半年〜9ヶ月。そこから、各テストの形式に慣れていくことを考えると、対策に1年はかかると想定しておくとよいでしょう。
基礎レベルから学習を始める場合は、英検やTOEICから学習をすると良いでしょう。なぜなら、いきなりTOEFL対策を始めても難しすぎて逆に学習効率が下がるからです!
スコア戦略
TOEFL iBT「80点」 理想のスコア配分
TOEFLでスコア「80点」を目指す場合、理想のスコア配分は以下の2パターンあります:
- パターン1:R20, L20, S20, W20
- パターン2:R24, L20, S16, W20
パターン1は全てのセクションで20点以上を目指すパターンです。特にリーディングが苦手な場合は、パターン1のスコア配分が理想的です。
パターン2は、リーディングが得意な場合の理想のスコア配分です。リーディングで苦手セクションのスコアをカバーします。
自分の苦手分野を正しく分析して、自分にあったスコア配分を目指しましょう!
TOEFL ITP「550点」 理想のスコア配分
TOEFL ITPは、「リスニング・リーディング」が50問ずつ計100問と「文法」が40問の合計140問で構成されています。そしてスコア配分の参考目安は以下のようになります:
- リスニング:34 / 50問
- リーディング:37 / 50問
- 文法:31 / 40問
上記の正答数を確保できれば概算で550点を取得することができます。スピーキングとライティングの勉強をする必要がない分、精読が正しくできれば十分対策可能な範囲ということが分かります。
正しくスコア戦略を練ることで不必要な学習を排除し、効率的に目標達成することができます!大まかでいいので必ず事前に考えておきましょう!
TOEFL iBTの勉強方法
前提となる基礎英語力
TOEFLは基礎的な英語力を身につけてから、勉強を始めましょう。
なぜなら、出題される問題のレベルが高いので、基礎力が足りていないと学習効率が悪くなるからです。
以下の観点はTOEFL対策を始める前に、しっかりとインプットしておくことをオススメします:
- 語彙力(約8000語以上)
- 文法(大学受験で出題される全範囲)
語彙力は「英検準一級」または「TOEIC800点以上」を取得できるレベルが最低ラインです。
英文法は、大学受験で出題される範囲は全て理解できている状態が望ましいです。TOEFLは難解な構文が多いので、正しい文法知識がないと精読ができなくなるからです。
「最初からTOEFLで勉強した方が早い!」と考える方が多いようですが、基礎を徹底的に固めてからTOEFLの勉強をした方が結果的に早く目標スコアを取得できます!
必要な勉強時間が必要か
仮にゼロから英語学習を始めるとして、どれくらいの時間を英語に投資する必要があるでしょう?
CEFR | TOEFL iBT換算(概算) | 学習時間 |
C2 | N/A | 1,000 – 1,200 |
C1 | 95 – 120 | 700 – 800 |
B2 | 72 – 94 | 500 – 600 |
B1 | 42 – 71 | 350 – 400 |
A2 | – 42 | 180 – 200 |
A1 | N/A | 90 – 100 |
上記表は、Cambridge Assessment Englishによって公開されています。
左側のCEFRとは「ヨーロッパ言語共通参照枠」を指します。言語の習熟度合いを6段階で評価したものです。C2をネイティブレベルとし、下に行くほど習熟度が下がり、A1が初学者となります。
上記の表をみると、TOEFL iBTの80点はCEFRのB2に属するので、合計で「約500 – 600時間」の学習が必要ということになります。
しかしこれは、比較的リスニング対策に苦労しないヨーロッパ圏の非ネイティブもデータに含まれています。一般的に、英語から遠く離れた言語の日本人の学生は、もっと時間がかかると思った方が良いでしょう。
リーディングの勉強法
リーディングで高スコアを取得するために重要なポイントは、以下の3点です:
- 語彙力強化
- 精読力強化
- 多読
語彙力はあればあるほど正確にリーディングすることができます。
地道な作業ですが、TOEFLの過去問を解いて分からなかった語彙をまとめて一つずつ消化していきましょう。
そして最も重要なことは「精読」です。文章を感覚で読まないで、正しく要点を読み解くことが高スコアを取得するためには最も重要です。主節の文構造(SVOC)が正しく取れるようにしていきましょう。
「多読」はあくまで精読ができてこそ、学習効果があります。意訳することなく、正確に訳すことを徹底しましょう!
リスニングの勉強法
リスニング対策には、リプロダクションがオススメです。
リプロダクションとは、1文を聴き終えてから、1文全てを復唱することを言います。以下は練習のサンプルになります。
1文全てを復唱するためシャドウイングよりも難易度は高いです。
全文を真似をするということは、記憶のリテンションにこだわるという意味です。リテンションとは、「保持する、維持する」という意味で、この場合は、「聴いた音と内容を覚えている」という意味になります。
聴いた音と内容がきちんと頭の中に残るという点においては、シャドーイングよりも効果がありますが、当然、難易度はシャドーイングよりも高いです。
スピーキングの勉強法
スピーキングの対策は、以下の順でおこないましょう:
- テンプレートの表現を覚える
- メモをとる
- 録音した内容を分析して改善する
- 再度録音して分析する
80点を目指す人は、TOEFLスピーキングはテンプレートを活用しましょう。
聞き取った単語をメモして、テンプレートにあてはめていく答え方をします。
その際、長い文章を作らないように注意しましょう。長い文章を作ろうとすると詰まってしまい、時間内に回答できなくなってしまいます。
回答しきれない場合は、15点を超えることはありません。
5~7語の短い文章をたくさん話すことが、23点までを目指すにあたって大切なポイントです。目安は90語です。
TOEFLスピーキングは実質的にリスニングができないと回答できないようにできています。リスニング力を上げることが絶対条件です。
ライティングの勉強法
TOEFLのライティングは以下のポイントが重要になります:
- リスニング力
- パラグラフ構成
- 論理展開
TOEFLのライティング対策で最も重要なことはリスニング力です。なぜなら、リスニング内容の要約が問題として出題されるからです。
またエッセイ形式の問題では、パラグラフ構成を理解することが大切です。書き出す文字数が約300字あるので、適切な段落構成を理解していないと主張の論点がバラバラになり、文字数が足りないということが起こります。
パラグラフ構成にもテンプレート表現があります。最初はテンプレートの型に自分の主張を当てはめて書く勉強から始めましょう!
リスニング対策が重要
繰り返しになりますが、TOEFL対策において最も重要なことはリスニング力の強化です。
各セクションの内訳をみてみると、
リーディング | 30 – 40問 |
リスニング | 28 – 39問 |
ライティング | 2問(うち1問でリスニングが必要) |
スピーキング | 4問(うち3問でリスニングが必要) |
と、全体のおよそ67点分(120点満点)でリスニング能力が必要です。
これまでの受講生を見ると、やはりみなさんリーディングは得意な方が多いです。しかし、リスニングは伸び悩む方が多い。
頭の中で文字情報として英語を理解することに慣れているので、音声情報のまま理解を深めることに苦労するようです。
最後に
今回の記事のポイントをまとめておきます:
- 合格基準はTOEFL iBTで80
- リスニング対策がTOEFL最重要
- SWはテンプレートの活用から
TOEFL iBTは、一般的に認識されているよりもずっと難易度の高いスコアです。
TOEFL対策では、単に英語を勉強するのではなく、現状のスコアと弱みを正しく理解して適切な戦略をとって勉強計画を立てることが重要になります。
TOEFLに関する、対策記事は全て以下にまとめていますので、必要な人は参考にしてください。
- 参照:TOEFL対策 まとめ
最後に、弊社はオンラインでTOEFLを専門的に教えています。英語対策でお悩みなどありましたら、遠慮なくご連絡下さい!
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。