今回の記事は「海外大学院英語対策として必要なIELTSやTOEFLの基準と勉強法」をできるだけ具体的に紹介します。
「海外大学院に進学するために英語の基準を知りたい方」や「 既にIELTSやTOEFLの勉強を始めている人」の役に立てば幸いです。
結論から述べると、IELTS6.5もしくはTOEFL90点をまずは目指して下さい。IELTSやTOEFLの学習は英検準1級までの基礎を身につけた上で復習を徹底的に行うことで目標に到達可能です。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次:
海外大学院進学に必要なIELTSとTOEFL
IELTSとTOEFLとは
海外の大学院に進学するためにはIELTSまたはTOEFLのスコアを大学に提出する必要があります。
まずはその「IELTS」と「TOEFL iBT」の概要を確認しておきましょう。以下が2つのテストの概要です:
IELTS | TOEFL iBT | |
名称 | International English Language Testing System | TOEFL Internet Based Testing |
試験形態 | 紙とパソコンの選択制 | パソコン |
受験単位 | 個人受験 | 個人受験 |
受験料 | 25,380円 | $235 |
スコア | 0 ~ 9 | 20 ~ 120点 |
日本人の平均 | 5.7 / 9 | 70 / 120点 |
試験時間 | 約3時間30分 | 約3時間30分 |
構成と時間 | ・Writing (60分) ・Reading (60分) ・Listening (40分) ・Speaking (11-15分) | ・Reading (54-72分) ・Listening (41-57分) ・Speaking (17分) ・Writing (50分) |
特徴 | ・スピーキングが対面式 ・ライティングが非常に難 ・世界で最も受験者数が多い ・GeneralとAcademicの2つのテストから選択 | ・要約力が必要 ・スピーキングが難 ・リスニング力が重要 ・世界の中での順位認知 |
共通点が多い両テストですが、スコア算出、各セクションの出題順などに違いがあります。以下にBritish CouncilとETSが公表しているサンプル問題のリンクを載せておきます。
問題を解いた事がない人はまずは解いてみて下さい。テストのレベル感と現状を知ることが第一歩です
IELTSとTOEFLの進学基準
海外の大学院進学の際に提出する必要があるIELTSやTOEFLの基準値を確認しましょう :
優良大学 | 一流大学 | |
IELTS | 6.5 – 7.0 | 7.0 – 7.5 |
TOEFL | 80 – 100 | 100 – 110 |
IELTSでは6.5を、TOEFLでは90点を取得することで海外大学院進学の選択肢が大きく広がります。一流大学の修士過程を目指す場合はIELTS7.0、TOEFL100点以上が1つの目安になります。
IELTSやTOEFLのレベル感
海外の大学院進学に必要なIELTSやTOEFLのレベル感はおよそ英検1級より少し難しい程度です。各セクションの難易度を英検1級と比べてみましょう。
- R: 難 IELTS > TOEFL > 英検1級 易
- L: 難 TOEFL = 英検1級 > IELTS 易
- W:難 IELTS > TOEFL > 英検1級 易
- S: 難 TOEFL > IELTS > 英検1級 易
リーディングとライティングはIELTSの方が難しく、リスニングとスピーキングはTOEFLの方が難しいです。
英検準1級で7割とれない人はIELTSやTOEFLの対策は少し早いです。基礎に立ち返りましょう
迷っているならIELTS
アメリカやカナダの特定の大学にこだわりがないならば以下3つの理由からIELTSで対策をした方が良いでしょう。
- IELTSの方がスコアメイクしやすい
- アメリカの大学の99%でIELTS採用
- 英豪の大学院ではIELTSがまだ主流
IELTSの方が幅広い選択肢の中から大学院進学の可能性を残すことが可能です。また高得点を狙うにあたってはTOEFLよりもIELTSの方がスコアメイクがしやすいのも現実です。
特にIELTSのRLではTOEFLよりも間違いに対する許容範囲が広いためです
IELTSとTOEFLの勉強法
前提としての英検準1級
以下の観点はIELTSやTOEFLの勉強を始める前に、しっかりとインプットしておくことをオススメします:
- 観点1:語彙力(約8000語以上)
- 観点2:文法(大学受験で出題される全範囲)
語彙力は「英検2級から準1級」または「TOEIC800点以上」を取得できるレベルが最低ラインです。語彙は知っていればいるほど良いです。
英文法は、大学受験で出題される範囲は全て理解できている必要があります。なぜならIELTSやTOEFLは難解な構文が多いので、正しい文法知識がないと精読ができません。
基礎がない状態でIELTSやTOEFLの勉強しても知らない単語が多すぎて復習できなかったり、解説書で書いている事が分からないです
リーディングの勉強法
IELTSやTOEFLのリーディングで高スコアを取得するために重要なポイントは、以下の3点です:
- ポイント1:語彙力の強化
- ポイント2:精読
- ポイント3:速読
英語の文章というのは、単語という「意味をなすもの」と文法という「文章を作るルール」の2点で成り立っています。
語彙力はあればあるほど正確にリーディングすることができます。地道な作業ですが、IELTSやTOEFLの過去問を解いて分からなかった語彙をまとめてエクセルに落としたりフラッシュカードを作りましょう。
そして最も重要なことは「精読」です。文章を感覚で読まないで、正しく要点を読み解くことが高スコアを取得するためには最も重要です。主節の文構造(SVOC)が正しく取れるようにしていきましょう。
「速読」や「多読」はあくまで精読ができてこそ、学習効果があります。意訳することなく、正確に訳すことを徹底しましょう
リスニングの勉強法
IELTSやTOEFLのリスニングは以下の手順で学習することで、目標スコアを効率的に達成することができます:
- 手順1: 英語発音の習得(基礎発音 + 音声変化)
- 手順2:「抑揚(イントネーション)」「強勢(ストレス)」の習得
- 手順3: 教材のオーバーラッピング
- 手順4 : 教材のシャドーイング
リスニングは「音声知覚」と「意味理解」の2つの要素で構成されています。つまり正しい発音を習得して、語彙力を増やすことでリスニング力が向上します。
発音習得で特に見落としがちなのが「抑揚(イントネーション)」と「強勢(ストレス)」です。英語のリズムで音を生成できるように意識しましょう。
再現性高くIELTSやTOEFLの音源の真似ができれば1語1句聞き取れます。いきなりシャドーイングをしても効果が現れない人は発音を矯正することを大切にして下さい
スピーキングの勉強法
IELTSやTOEFLのスピーキンングは1人でも練習できます。スピーキングの勉強は以下の順でおこないましょう :
- 手順1:テンプレートの表現を覚える (TOEFLのみ)
- 手順2:回答を書き出して音読 & 録音する
- 手順3:録音した内容を書き出す
- 手順4 : 分析して改善する
- 手順5:再度録音して分析する
スピーキングの勉強は、正しい発音を習得していることが理想的です。なぜなら発音も採点基準に含まれるので、スコアアップが期待できるからです。
スピーキングに苦手意識がある人は最初はスピーキング内容を事前に書き出して練習しましょう。慣れてきたら徐々に書き出す内容を減らして話すことに慣れていきましょう。
TOEFL学習者はテンプレート表現を覚えることで、回答が論理的に整理されます。回答のロジックも採点基準に含まれるので、スコアップが見込めます!以下の記事を参考にしてください:
スピーキングもリスニングと並行してまずは発音矯正をしましょう
ライティングの勉強法
IELTSとTOEFLのライティングの勉強法はその問題構成の違いにより異なりますので分けて考えましょう。
IELTSのライティング
IELTSのライティングでは以下のポイントが重要になります:
- ポイント1:評価基準の理解
- ポイント2:アイデアと理由と例の一貫性
- ポイント3:小さな文法を減らす
IELTSライティングはTOEFLと違い評価基準が非常に細かく提示されています。まずはどれぐらい書けたら何点なのかを理解しましょう。
- 参照: ライティングタスク1の評価基準
1人よがりのライティングをやめることが第一歩です。採点官に読ませるものだという強い意識をもちましょう
TOEFLのライティング
TOEFLのライティングは以下のポイントが重要になります:
- ポイント1:リスニング力
- ポイント2:パラグラフ構成
- ポイント3:論理展開
TOEFLのライティング対策で最も重要なことはリスニング力です。なぜなら、リスニング内容の要約が問題として出題されるからです。
またエッセイ形式の問題では、パラグラフ構成を理解することが大切です。書き出す文字数が約350字以上なので、適切な段落構成を理解していないと主張の論点がバラバラになります。
パラグラフ構成にもテンプレート表現があります。最初はテンプレートの型に自分の主張を当てはめて書く勉強から始めましょう!TOEFLライティングのテンプレートは以下の記事を参考にしてください:
まとめ
どんなに難しくてもIELTSとTOEFLは攻略可能
- ポイント1:IELTS6.5またはTOEFL90点が1つの基準
- ポイント2:まずは基礎としての英検準1級を
- ポイント3:各セクション復習を徹底的に
始めてIELTSやTOEFLを解いた人の感想は、「こんな難しい英語のテストがあるのか!」ではないでしょうか。
勉強してもスコアが全く伸びない時期もありやる気を失うかもしれません。IELTSやTOEFLのスコアを伸ばすには通常1日3時間を3か月継続して現れるものです。
諦めずに継続してください。たかが英語のテストです。必ずできるようになります
不思議なもので、将来その時のことを振り返ってみると「あの時は大変だったけど、今見るととそんなに難しくないなあ」 と思うのです。
IELTSやTOEFLに挑むような皆さんは必ず世界に良い変革をもたらす人間であると思っています。
何かIELTSやTOEFLの勉強で困っていることがあれば、いつでもご相談ください。何か手伝えることがあると思います。